ドクロ ジョン・クラッセン(著) 柴田元幸(訳)

海外文学

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ジョン・クラッセンは、カナダ出身の絵本作家・イラストレーターである

2012年刊行の「ちがうねん」は、権威ある絵本の賞であるコルデコット賞とケイト・グリーナウェイ賞をダブル受賞した。

その他「どこいったん」、「そらから おちてきてん」などの著作がある。

これらの著作は、世界各国で翻訳され、親しまれている。現在ロサンゼルス在住である

本書はカナダでは「The Skull」というタイトルで、日本語訳では「ドクロ」となる

なかなかにおどろおどろしいタイトルであり、イラストも全体的に暗いイメージである

おまけに少女が森の中でドクロを抱えて立ちすくんでいるのだから

何事か!?となるのは自然だろう

しかし近年、ハロウィンが定番になりつつあるためか、その雰囲気もわりと受け入れやすいのも否めない

謎の多さが魅力

少女はある場所から逃げてきた

そしてドクロに出会った

ドクロの住む城のような場所

たくさんの仮面が飾られた部屋

定期的に現れる頭の無いガイコツ

本作を読み終えた後、明かされない謎がいくつも残るのである

完全放置の、読者のご想像にお任せされるパターンである

これはミステリーである

しかし、その読者に委ねられる感じは

どこに当てはまるのかを、それぞれの生活環境と照らし合わせると

自ずとオリジナルの物語が生まれていくのである

その物語はハッピーエンドでもバッドエンドでも良いということだ

この本は、実は

本作は、訳者である柴田元幸が、アラスカの図書館で出会った本であるらしく

その図書館で手に取り読んだのだが、持ち帰ることはできなかったため

日本に帰国した後も、その物語が印象に残っていた

何度も思い返しているうちに、オリジナルの物語にしてしまっていたようである

そして見事に「ドクロ」という、謎深き名作が生まれたようなのである

そのため本作は、原作の「The Skull」を新たに編集して作った、派生作品であるという方が正しい

実際にそのことを昔から「口伝」されてきた「民話」のようなイメージと捉えているようである

原作の物語については、日本語版の本書の巻末にあらすじが書かれているので、手に取った際に読んでいただきたいと思う

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