狂おしいほどの深き愛
高嶺の花というわけではない
すぐそこにあり、手が触れかかっているのに届かない
だからこその苦悩、葛藤、絶望を味わうのである
「人の感情」というものは、なかなかにコントロールできないものである
それが男女という違いがあれば自ずとすれ違うことは多いだろう
そして「恋」というものは、大抵の場合、叶わないものである
だからこそ、成就した時にはとても美しい華をを咲かせるだろう
もちろん叶わない恋も美しいが、そこでは切なく、花びらが散るだろう
「失恋」は人間としての成長の機会になる
そのため、避けずに通るのが最も自分のためになる
しかし、失恋をなるべく避けたいのが人間なのである
主人公のウェルテルは、情愛の熱がとても激しい人物であった
作中でも、思い人のシャルロッテに対してこれでもかというばかりに猛アタックしていく
作中では控えめな表現なのではあるが、周囲から観察していれば
その行動はあからさまなのである
シャルロッテもまんざらでもない様子なのだが
しかし、彼女はウェルテルに対し深き愛はもちつつも、友情止まりなのである
そしてシャルロッテには、夫ができてしまうのである
ウェルテルは、社交的で逞しい人物であると思うが
叶いそうで叶わない恋の中で、その精神は蝕まれていってしまい
次第に彼の様子は変わっていってしまう
ウェルテルの思考回路の旅
僕自身は、名作だといわれている一点だけで、手に取ってみた
海外の文学作品は苦手な方ではあるが、今回は苦もなく読み進めることができた
「恋愛」をテーマにした海外の文学であった
僕は、一人称視点であれこれ頭の中でグルグル思考している作品は好きであるので
本書のウェルテルの思考回路もなかなかに面白かった
ただ、苦悩している感じがとても辛い
わかる、わかるぞーという感じで応援したくなるのだが
それがどんどん苦悩が深くなっていって、大丈夫か?と
作中のウェルテルのことが心配になってくるのである
ラストにおいては、「衝撃」の一言であった
感情を強引に揺さぶられる、見事な作品であったと思う
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