本作について
本作は、パウルクレーの絵に、谷川俊太郎が詩を添えて作られた本である
発行は2000年10月である
パウル・クレーは
1879年スイスのベルン近郊で生まれた。音楽教師の父、声楽家の母を持つ
4歳の頃、祖母から絵を学び、7歳でヴァイオリンを始める
21歳の頃にミュンヘン美術学校に入学
その後絵画グループ「青騎士」のメンバーとして
また「バウハウス」の教授として、新しい絵画運動の一翼を担うこととなる
晩年は、ナチスによる迫害と皮膚硬化症という奇病に苦しみながらも創作活動を展開した
谷川俊太郎は、以前の「考えるミスター・ヒポポタムス」でも触れたが
今年(令和6年)11月に、92歳で亡くなった詩人である
世界的な作品「あしながおじさん」や「PEANUTS」など翻訳をしていた方である
クレーの絵は
絵画を深く読み取ることはできない僕ではあるが
それでも、好みか好みでないかという点で言えば
クレーの絵は好みの類である
本作では大半が、デッサンの絵に詩を添えている
デッサンとは、対象物を見て、明暗などを線の濃淡で丁寧に描いていく手法であるらしい
一般的に線画、あるいはほとんど彩色を施さない絵画表現を指す。
表紙絵にあるような絵を、デッサンというのだろう
とてもシンプルに描かれているけれど、その特徴をしっかり捉えている
シンプルであるが故に、自分でも描けそうだと錯覚しそうな感じではある
ムダなものを削ぎ落としているという点では、ミニマリズム的であるといえるだろう
他にも、彩色を施した絵も掲載されており、優しい色使いがなされているのであるが
この辺りを正確に伝えられるほど、絵画に詳しくないので
ぜひご自身で実際に手に取って確かめてみていただきたい
谷川俊太郎の詩
以下、「おませな天使」のデッサンに添えた谷川俊太郎の詩である
うたがうことばかりしっていて
しんじることをしらなかった
きずつくまいとしてあいするものからめをそらし
かぎりないそらをみて
かぜにゆれるきざをみて
おおむかしをゆめみてかえることのできるほらあなをさがした
だがいつもあっというまにきょうはあすになり
あすはきのうになり
あたらしくうまれてくるものたちだけがつかのまてんしのすがたして
みえないつばさではばたき
こころのくらやみをふきちらした
どんな人でも「寂しさ」や「むなしさ」を感じることがあるだろう
「幸せな明日」を夢見て、苦しみ、もがいている
過ぎゆく時のなんと早いことか
「救われたい」、「逃れたい」、「抜け出したい」
そう思っていた過去はいつの間にか遥か彼方に消えている
そこから自分は変われただろうか
夢見た「幸せな明日」に立っているだろうか
そこに立つための一歩は踏み出せただろうか
神を信じ続ければ、神が手を差し伸べてくれて救われるわけではない
自分を信じて行動しなければ、神も手を差し伸べてはくれないだろう
「二宮金次郎」として有名な「二宮尊徳」は言いました
世の中は、知恵があっても学があっても、
至誠と実行がなければ、事は成らない
大事をなさんと欲せば、小なる事をおこたらず勤むべし。
小つもりて大となればなり。
しっかり行動し、小さな事を積みあげ
「幸せな明日」を手に入れましょう
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